医療系のドラマや映画を見ていて、「救急隊員ってかっこいい!」って思ったことはありませんか?ユニフォームに憧れた人は少ないないはず!
でも海外で救急隊員になるなんて、まず無理。と思っているアナタへ朗報があります。この記事では実際に、私がオーストラリアで無資格で救急隊員になった方法や活動内容を紹介します。
オーストラリアの救急隊員
日本同様、オーストラリアにも「救急救命士」という職業があります。Pramedicというのですが、オーストラリアでPramedicになるには大学で学び学士を取らなければなりません。そして卒業後にThe Australian Health Practitioner Regulation Agency (AHPRA)という機関に登録され、 晴れて資格をもった救急救命士として仕事をすることが出来るのです。
「いや、だからこれって資格が必要ってことだよね?」と思ったアナタ。そうです、プロとして働くためには日本と同じで資格が必要になります。ですが、ボランティアの場合は資格がなくても問題ないんですよ。
ボランティア隊員になるには
ではここから、私がどうやって救急隊員になったのかお話していきたいと思います。まずはどんな条件があるのかを紹介します。
- 運転免許がある(国際免許はNG)
- ポリスチェック(無犯罪証明)
- Working with Children Check(子供と関わるのに問題がないという証明)
- 国民出ない場合、有効なビザを持っていること
- 健康診断
以上が、公式に発表されているボランティア隊員になるのに必要な条件です。ここで気になるのがビザですが、何ビザはOKで何ビザは無効など細かいことは書かれていません。おそらくオーストラリアで制限なく働くことが出来るビザなら問題ないのでは?と思いますが、詳細は問い合わせないとわかりません。
どこでもボランティアになれるのか?
オーストラリアの救急サービスは州ごとに独立しています。私はSA(南オーストラリア州)在住なので、ここでお話している救急隊はSAAS(SA Ambulance Service)についてです。そのほかの州や地域の救急サービスでボランティアを受け入れているのかはわからないので、ご了承ください。
またボランティア隊員が活動できるのは、基本的に田舎になります。南オーストラリア州の州都アデレードや大きな町では、資格を持つParamedicが働く場となるので注意が必要です。ボランティア隊員が活躍する救急署はこちらの公式サイトで確認出来ます。
書類審査だけではなく面接もある
隊員になる条件のところで紹介したものは、書類審査です。隊員になるには面接もパスしなければなりません。面接は3対1で行われました。3人ともボランティアスタッフでしたが、2人は現場で活動する隊員でもう1人は事務スタッフの人でした。
私が面接を受けたのは2020年9月ごろで時間が経っているので、記憶が曖昧ですが覚えている質問は
・救急隊の仕事に何を求めるか
・ストレス解消はどうするか
・流血、吐しゃ物など見る可能性もあるけど大丈夫か
・チームワークとは
・大変だった場面と、それをどう乗り越えたか
・批判的な意見を言われたらどう思うか?どうするか?
・いつ働けるか
こんな感じのことを聞かれました。
英語の基準はあるのか?
英語の基準に関しては公式サイトには一切書かれていません。そのため、例えばIELTSのスコアがいくつ以上必要とかはありません。ただ言えるのは、公式サイトの内容が理解出来て面接もこなすことが出来る程度の英語力が必要だと思います。
まずはボランティア募集の公式ページを読んでみて、今現在の英語力を測ってみてはいかがでしょうか?
ボランティアはどれくらい参加が必要?
書類審査と面接を通過すると、チームメンバーに迎えられ隊員として活動することが出来ます。ボランティアですが、毎月30時間のシフトに参加するという決まりがあります。これは最低時間ですので、それ以上参加することもあります。また月の合計時間なので、例えば1日3時間で10日の参加でも良いですし、1日8時間で4日の参加でもOKです。
この「シフトに参加」というのは、自分のシフトの時間に救急要請されたら現場に行き救急活動をするということです。オンコールですので、救急署に待機している必要はありません。隊員は皆ポケベルを渡されるので、自分のシフト時間はポケベルをオンにしておく必要があります。
ボランティア隊員として出来ること
それでは気になる実際の活動内容をお話します。隊員は3つのランクに分かれていて、どのランクに属すかによって出来る内容が変わってきます。
- AO (Amulanse Officer)
- AR (Ambulanse Responder)
- AA (Ambulanse Assist)
の3段階で、AA→AR→AOの順にランクが上がります。つまりAAは活動に制限が多く、AOは一番多くの権限を持ちます。ARはその中間という感じです。いずれもボランティア隊員ですので、多くの医療行為は出来ません。
- バイタルサイン測定(体温、血圧、脈拍、酸素濃度)
- 血糖値の測定
- 内服薬や吸入薬の投与(決まったもののみ)
- 酸素投与
- 心電図の装着
というような医療行為は出来ます。AOの指示のもと、AA・ARでも出来ます。AOもボランティア隊員=医療資格がないので、本部と連絡を取り本部にいる救命士から支持を受けて対応していきます。
このように隊員のランクによって出来る内容が変わるので、活動する時は2人か3人のチームで応対にあたります。必ず1人はAOがいるチーム編成になります。
救急車は運転出来るの?
運転出来ちゃうんです!もちろんトレーニングを受けて試験に合格しないといけないのですが、本物の救急車を運転出来るのはなかなか出来ない経験です。
試験では街中の運転だけでなく、競技場の中でジグザク走行やバックしながら駐車などが項目に入っていました。
この写真の救急車は、資格を持つ救命士しか運転出来ないのですが、日ごろ見る機会がない車両の中を見れてしまうのもボランティア隊員だけの特権かもしれません。
トレーニング
月30時間以上のシフトが必要、とお話ししましたが、それとは別に月2回のトレーニングがあります。必ず参加しなければならないわけではないですが、トレーニングに参加せず実践で活躍するのは難しいです。
トレーニングの内容はさまざまですが、署内だけではなく近くの公園で行われたこともあります。特に署外のトレーニングは実践で使えるような内容なので、勉強にもなるし楽しいものばかりでした。
消防と共同のトレーニングもありました。飲食店で火事が起き、連携して救助活動をするという内容でした。ちなみに消防隊員もボランティアなんです。オーストラリアの田舎では救急・消防がボランティアとして担っていることが多いです。
完全に無給の活動なのか?
ボランティアなので、活動やトレーニングに参加してお給料が発生することはありません。でも頂けるものもあるんですよ。
交通費
トレーニングに参加した時や実際の救護活動に当たった時は、交通費が支給されます。救急署から一定距離以上離れた場所に住んでいる隊員にのみ、支払われます。
記念品やパーティー
毎年ボランティアウィークがあり、プレゼントを頂けます。毎年違うものですが、私が所属した期間ではバックや寝袋などをもらいました。
ボランティアウィーク中は大規模なパーティーもありますが、クリスマスパーティーは地元のレストランで内輪だけで行われます。隊員やスタッフ同士の親睦を深める目的が一番ですが、1年間頑張った自分たちへのご褒美として皆で楽しみます。食事は無料ですし、プレゼントもあるんですよ。
ボランティア隊員に挑戦してみませんか?
この記事では、私が資格なしで救急隊員になった方法を紹介しました。もしかしたらハードルが高く感じるかもしれません。それでもボランティアになれないことはないですし、救命士の資格を取るよりはずっと近道だと思います。
何より救急隊として活動として学んだことはかけがいのないものです。興味のある方はぜひ1歩踏み出してみてください!
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