【海外看護師】僻地では必須!?救急看護トレーニングを受けて

REC(Remote Emergency Care)とは

RECとはRemote Emergency Careの略であり、僻地や田舎での緊急時の対応に特化したコースになっています。オーストラリアの田舎の病院では医師は常駐していませんし、僻地では次の町まで500km以上という環境です。そのため看護師が出来るだけ救急患者さんの状態を安定させて、適切な治療が行える大きな病院に搬送する移送チームを待ちます。

国土の広いオーストラリアでは、医療の地域格差は日本よりも大きいと感じます。このRECでは田舎や僻地で働く看護師の救急知識やスキルをより深く学ぶ機会となっています。

開催場所

年間を通して、オーストラリア各地で開催されています。自宅から近いところに行くも良いですし、ホリデーと合わせて遠方に行くのも良いと思います。

私が参加したのはウルルへ行く出発地点として知られているアリススプリングスでした。

コース概要

コースは2日間にわたって行われます。1日目はプライマリーサーベイとセンカンダリーサーベイを主に学びました。実技でもどのようにプライマリーサーベイを行うかを、シチュエーション別で練習していきました。具体的には気道確保の方法、気道確保に使う器具、点滴を行う時の薬剤や投与量などでした。

1日目は実技試験がありました。実技試験はロールプレイです。僻地にいる自分の元に電話があり、屋根から墜落し大量出血している患者さんの対応をどうしていくかを試験官に説明しました。

2日目は、主に心疾患や肺疾患の患者さんの状態が悪くなった時の対応方法についてでした。実技では、静脈留置針の挿入や骨髄路の確保の練習、心電図について、バイク事故の対応(ヘルメットの安全な外し方)などをグループに分かれて学びました。

最後はグループ対抗で、コースの復習クイズをして解散です。

コースを受講しての感想

今までの知識の復習と新しい学びが出来る

特に1日目はプライマリーサーベイとセカンダリーサーベイについてなので、参加者で知らない人は誰もいなかったと思います。日々の業務で行っている人がほとんどなので、新しい知識をたくさん学んだという印象はありません。

ですが、うっかり見落としがちなことがあったり、一歩踏み込んで聞かれると実はわからない・知らないということもあります。それらを見直す機会になりました。

様々な経験を聞くことが出来る

参加者の多くは、すでに僻地で仕事している人たちでした。またRFDS(Royal Flying Doctor Service:患者移送サービス)の看護師もいました。彼らが現場で経験した話を聞くのは興味深かったですし、何より勉強になりました。都市部の大病院の救命センターで勤務しながら時々僻地で働いている人もいて、二拠点生活の話を聞くのも面白かったです。

講師陣も様々なバックグラウンドを持っていました。僻地で長年勤務した看護師や、救命士として僻地や都市部で働いている人など。彼らが見てきたものや、経験から学んだことの話は看護にすぐ活かせるものばかりでした。

情報満載のテキストが手に入る

事前にテキストをダウンロード出来ますが、様々な救急の状況を網羅している内容豊富なテキストが手に入るのもこのコースの魅力の1つです。コースを受ける際にも必要ですが、現場に戻った時にも役立つ情報が満載です。

テキストの内容は以下です。

  • Primary and Secondary Survey
  • The Trauma Client
  • Respiratory Emergencies
  • Cardiac Emergencies
  • Neurological Emergencies
  • Gastrointestinal Emergencies
  • Spinal Emergencies
  • Burns
  • Toxinology, Bites & Stings

日本の看護師には行えないスキルが学べる

このコースの実技練習には骨髄路(intraosseous – IO)が含まれています。基本的に点滴は血管を通して行いますが、緊急時は血管が収縮していてなかなか血管が見つからない・針が入らないということがあります。その時に骨髄路を確保するのが推奨されています。

画像元:https://images.app.goo.gl/ectULahoP2Fbp6XW9

マネキンを使ってドリルで穿刺する練習をするのですが、大人だけではなく子供や新生児を想定しての練習もしました。特に新生児は大人に比べて骨が柔らかいので、マネキンではなく卵を使いました。力を入れすぎるとうまくいかず、新生児の扱いの感覚を得るのに良かったと思います。

実は、この骨髄路の確保は日本では医師のみが行えるそうです。私は日本でも看護師でしたが、日本ではそもそも骨髄路を聞いたことも見たこともありませんでした。オーストラリアでは、緊急時は看護師も骨髄路を取ることが出来ます。

日本では医師しか出来ない技術だと知らずにTwitterに投稿したら、フォローワーさんから日本では出来ないと教えてもらいました。

RECを受講すると何が出来るのか?

僻地や田舎で勤務する時にRECの受講が求められることがあります。特に派遣看護師として働く場合です。派遣会社に登録する時にRECが必須なことがあります。必須ではなくても、RECを持っていると採用されやすくなります。

またRFDS(Royal Flying Doctor Service:患者移送サービス)のスタッフは、RECの受講・更新が必要になるそうです。

田舎の病院でも必須としていないところもありますが、医師がいない・少ない看護師で対応するという特性から考えるとRECを受講することは大きな強みになりますし、自分自身の自信にも繋がります。

余談ですが…

会場

RECはオーストラリアの各地で行われています。私が受講したのはウルル(エアーズロック)の玄関口であるアリススプリングスでした。会場はヒルトンホテルの中の会議場です。

宿泊先

2日間のコースなので、どこかに宿泊しないとなりません。もちろんどこに泊ってもいいのですが、私は利便性を考えて会場と同じヒルトンに泊まりました。朝8時に開始だったので、同じホテル泊まることで朝ゆっくり過ごせることは大きかったです。

ふっかふかで広々なベッドで快眠出来ました!
焦点ブレブレですが、ソファとテーブルでくつろぐことも出来ました

コースには食事も含まれている

RECは2日間にわたって行われるのですが、両日ともモーニングティー、ランチ、アフタヌーンティーが含まれています。ランチでは飲み物もたくさんの種類から選べるのは、嬉しかったです。

頭を使うコースなので、食事やおやつが含まれているから頑張れた気がします(笑)

レントゲンコースでも食事は提供されました。良ければ、そちらの記事もぜひ合わせて読んで下されば嬉しいです!記事のリンク

RECに興味がある方へ

RECは僻地医療に携わる看護師が主な対象ですが、どこ・どんな分野で働いていても必ず役立つ知識やスキルが学べるコースです。特に救急医療に興味ある人は、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか?

詳細は主催団体CRANAplusの公式サイトを、ぜひ確認してみてください!

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